
「見方を変える」から始まる探究-常葉中学校 Step0「リソースについて学ぶ」授業レポート-
「椅子は、普段何に使う?」
おそらく、多くの人が最初に思い浮かべるのは「座る」という答えです。
では、椅子を並べたら?
場所を変えたら?
何かを付け加えたら?
迷路になるかもしれない。
板を加えれば、滑り台になるかもしれない。
ロープを結べば、ブランコになるかもしれない。
一つのモノであっても、見方や使い方を少し変えるだけで、それまで気づかなかった新しい価値や可能性が見えてきます。
常葉大学附属常葉中学校で、シヅクリ PROJECT の地域探究プログラムの最初の授業となる、 Step0「リソースについて学ぶ」を行いました。
探究の入口は、「当たり前」を問い直すこと
これから生徒たちは、地域企業が持つさまざまなリソースを発見し、それらを組み合わせながら、新たな価値を生み出す探究に挑戦していきます。
その入口となる Step0 では、身の回りにあるモノやコトを「リソース(資源)」として捉え直し、当たり前の見方を問い直して、その中に新しい価値を見つけ出していきます。
この授業は、「リソースとは何か」を説明によって理解する時間ではありません。
大切にしたのは、「正しい答え」より、たくさん試してみること、一見すると変わったアイデアも歓迎すること、仲間との考えの違いから、見え方を広げることです。

仲間の言葉が、発想を動かしていく
フロアーに輪になって座り、自分の考えを伝え合う生徒たち。
誰かが発した一つのアイデアに、仲間が「それなら、こんなこともできるかも」と言葉を重ねていきます。
一人ではそこで止まっていた発想が、誰かの視点に触れることで再び動き始めます。
添付の写真からも、身ぶりを交えて熱心に説明する姿や、仲間の言葉に笑顔を見せる姿、じっくりと耳を傾ける姿が見られます。
ここで交わされたのは、どの考えが正しいかを決めるための話し合いではありません。
「でも、それは無理」ではなく、「それもいいね。だったら 」とつないでいく対話です。

「沈黙」も「違い」も、探究の力になる
授業の最後には、生徒たちがその日の気づきを付箋に書き、「今日のひとこと」として残しました。
そこには、探究の入口で生徒たちが感じた、さまざまな発見が記されていました。
「正解を探さずに、たくさん言葉にすることができたから楽しかった」
「いつもはやらないことだけど、可能性を発見することが面白かった」
「沈黙も大切だけど、ずっと沈黙だったらよくないと改めて学んだ」
「沈黙は、考える時間ならよい。沈黙になって無になるのではなく、考え続けること」
「自分の意見や、ほかの人の意見を聞くことで、反応することが大事だと思った」
「正解がないから、一つの意見を発展させて、自分たちの考えを生み出すのが面白かった」
「言葉にすることが大事だと思った」
「お互いの発想を、とりあえず言葉にする」
「沈黙を耐える楽しさ、言葉にすることでどんどん発想が生まれるというのが印象に残りました」
「反応するほど新しい発想が出てきて楽しくなれた」
「沈黙は新しいアイデアを生み出すきっかけになると知った」
「誰も考えないような新しい視点で発想の転換を楽しみながら、たくさん試していきたい」
「正解はないから、どんどん言葉にしていくことを大切にしたい」
という言葉が寄せられました。

生徒たちの振り返りから見えてきたのは、単に「変わった使い方を考えられた」ということだけではありません。
考えが浮かばない時間にも意味があること。
自分の考えを言葉にしてみること。
仲間の言葉に反応することで、次の発想が生まれること。
正解を急がないからこそ、見つけられるものがあること。
生徒たちは今回の体験を通して、これからの探究を進めるうえで大切な姿勢そのものをつかみ始めていました。
これから始まる、可能性を発見する旅
今回の授業で生徒たちは、正解を見つけることよりも、まず自分なりに考え、言葉にしてみることの面白さを体験しました。
一人で考える時間があり、仲間の言葉に触れる時間があり、その中で、それまで思いつかなかった新しい見方が生まれていきました。身近なモノも、見方を少し変えるだけで、まだ知らなかった価値や可能性を持ち始めます。
これから生徒たちは、学校や企業、地域にあるさまざまなリソースと出会います。
普段は当たり前に見えているものに立ち止まり、「ほかの見方はできないだろうか」「こんな使い方もあるのではないか」と問いを重ねながら、その奥に眠る価値を見つけていく。
生徒たちの、「可能性を発見し、広げていく探究」が、ここから始まります。
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