
受け継がれていく共震 ― 可美中学校が生み出した学びの循環
2025年11月21日(金) 浜松市立可美中学校では、今年もシヅクリプロジェクトの校内発表会(step13)へ向けて、生徒たちが企画の最終ブラッシュアップに励んでいます。

教室には真剣な空気と、これまで積み重ねてきた時間が形になる手応えが満ちていました。
しかし、今年の可美中学校を特別なものにしていたのは、もう一つの大きな仕掛けです。
それは―昨年度の実践者である3年生が「企業人役」として、後輩である2年生の学びに伴走すること。
3年生が企業人役に
授業が始まると、3年生は2年生の各グループに入り、まるで本物の企業人のように鋭い問いを投げかけます。
・「その課題はなぜこだわった?」
・「この企画は誰をイメージしているの?」
小グループに入り、企画を磨くためのアドバイスを丁寧に共有します。
教室のどこを見ても、3年生は自信に満ち、昨年度の経験を活かして気付いたことを“自分の言葉”として語っていました。
それはまさに、昨年自分たちが挑んだ探究の時間が確かな力となって根づいている証でした。
2年生からはこんな声が上がりました。
「先輩から初めて聞く視点が多く、新しい気づきが生まれた」
「全国大会に進んだ先輩の話を聞いて、自分たちもあの舞台を目指したいと思えた」
学びの“化学反応”が、確かにその場で起きていました。

3年目だから生まれた、学校としての「学びの継続」
この取り組みを企画した2年生学年主任の先生は、次のように語ります。
「同じ取り組みをただ繰り返すだけでは、学びは発展しません。
3年目の今こそ、これまでの実践をどう受け継ぎ、積み上げるか。
昨年度大きく成長した3年生の力を、今年の学びに活かすべきだと考えました」
単なる“前年踏襲型”の授業ではなく、
学校全体で探究の学びを積み上げていく意図をもった「教育デザイン」 が存在している。
これこそが、可美中学校の取り組みの核だと言えます。
1年目:地域探究プログラムの理解を深める
2年目:学年の個性を生かしたブラッシュアップで取り組みが大きく開花
3年目:3年生が伴走者となり、学びの循環を生む
この流れは、学校が探究を“文化”として育てている証です。
学年を越えて連鎖する “共震”
3年生の学びが2年生に伝わり、その2年生が来年また後輩を支えていく。
教室にいた誰もが、その 「学びのバトン」 を感じていました。
探究は単発ではなく、
「受け継がれていく営み」になったとき、学校文化としての力を持つ。
そのことを、可美中学校の3年間の挑戦が見事に示してくれています。

この日、教室で起きていたのは
生徒同士の助言や質問のやり取りだけではありません。
3年間の挑戦がまっすぐにつながり、
生徒が生徒を育て、学びが次の学びを呼び起こす―。
この姿は、これから探究に挑む多くの学校にとって、確かなヒントになるはずです。
「学びは、人から人へ。経験は、次の経験をつくる力になる」
可美中学校はそのことを、実践を通して見せてくれました。
11月21日可美中学校の教室。
確かにそこには、
“学びが共震し、次の学びを呼び起こしていく”
そんな学校の未来の姿がありました。
(文責・花田浩文)
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