
鹿児島と静岡をつなぐ学びの共鳴—— 常葉中学校 × れいめい中学校 交流授業レポート〜トヨタの企業リソースを介して生まれた“可能性の対話”〜
授業の舞台と目的

11月12日、静岡市にある常葉中学校で、探究学習「シヅクリPROJECT」のステップ12にあたる授業が行われました。
この日のテーマは、「地域を越えて学びをつなぐ」。
常葉中学校の生徒たちは、鹿児島県のれいめい中学校とオンラインで交流授業を実施しました。
今回の交流が実現した背景には、両校の担当企業がそれぞれトヨタ自動車の販売会社であるという共通点がありました。常葉中学校はトヨタユナイテッド静岡、れいめい中学校はトヨタカローラ鹿児島が伴走企業として関わっています。
同じ“トヨタのリソース”を媒介に、地域の特性や発想の違いを学び合うことで、探究をより深めていこうという試みから、この交流が生まれました。
互いの学びを映し合う時間
交流授業ではまず、両校の授業風景を紹介し合い、代表生徒による学校紹介が行われました。
常葉中学校の代表生徒は、明るく凛とした口調でこう語りました。
「常葉中学校は、静岡市にある元気いっぱいの中高一貫の女子校です。
中学生全員の人数は 77 人と小さい学校ですが、1 人 1 人が学校の目標であるどんな困難いもめげず、より高きを目指すことを意識して生活しています。今回れいめい中学校の皆さんと交流できることを嬉しく思います。お互いにとってより良い時間にしていきましょう。」

画面越しに拍手が広がり、互いの緊張がほぐれていくのがわかりました。
続いて、両校のチームリーダーがそれぞれの意気込みを語り、学びに向かう思いを共有しました。
1人目のリーダーは、昨年度の経験を踏まえ、チーム全体で新たな発想を生み出すことへの意欲を語ります。
「去年はこの取り組みを通して、身近なところに課題があると気づきました。今年は、一見課題と思われるものの中にも可能性を見出して、自分たちの答えを見つけていきたいです。」
2人目のリーダーは、静岡の魅力にまだ知られざる価値があることを伝え、地域探究の面白さを語りました。
「干物やお茶、プラモデル、ピアノなど静岡にはたくさんの魅力があります。でもその魅力を知ったのは、この取り組みを通してでした。私たちは静岡の魅力を“発見・発展・発信”していきたいです。」
鹿児島と静岡。距離は離れていても、互いの地域を探究する姿勢に共感の輪が広がりました。
エールの交換、未来への約束
交流の最後には、両校のリーダーが音頭をとり、力強くエールを交換しました。
画面越しの声が重なり合い、「全国大会で会おう!」という約束の言葉が飛び交いました。
教室に拍手と笑顔が満ち、生徒たちの表情には“仲間とつながる喜び”が宿っていました。

この瞬間、シヅクリPROJECTが大切にしている「越境学習」の意義が形になりました。地域も学校も異なる生徒同士が、同じ探究テーマを通じて互いを刺激し合い、次のステップへと歩み出す。
まさに「共震(きょうしん)」の瞬間でした。
後輩に引き継がれる“探究のバトン”
この授業を特別にしたもう一つの要素が、1年生の見学です。
来年度、同じ探究プログラムに取り組むことになる後輩たちが、先輩たちの授業を真剣な眼差しで見つめていました。
授業後、見学した1年生たちはこんな感想を残しました。
「自分が考えたこともないようなことを先輩たちは考えていて、あまり興味がなかった取り組みが、ちょっと気になるものに変わりました」
「チームで意見を出し合ったり、共感し合ったりしている姿を見て、来年への期待が高まりました」
「自分の身近なことからいろんな考えが出されていて、みんなで考えが共有されていたことがとても良かったです」
先輩たちの姿を通して、探究の魅力が確かに次の世代へと伝わっていきました。教室の中に流れる“学びの継承”の空気が、印象的でした。

学びを地域へ、そして全国へ
常葉中学校とれいめい中学校の交流は、単なるオンライン授業にとどまらず、地域を越えた“未来づくりの実験場”となりました。
トヨタの企業リソースという共通軸を持ちながらも、静岡と鹿児島という異なる土地で、それぞれの文化や課題、魅力を見つめ直す。
生徒たちはその違いの中に、新たな発想のタネを見出していました。
今回の授業を経て、常葉中学校の生徒たちは、今後自分たちのアイデアをより具体的な企画にまとめ、12月の校内発表会での発表を目指していきます。その過程には、鹿児島で学ぶ仲間の姿が、確かな刺激として息づいているはずです。
結び —— 共に創る、未来の風景
この日の授業を通して、静岡と鹿児島という二つの地域が一つの学びのフィールドでつながりました。生徒たちはそれぞれの土地に眠るリソースを見つめ、問いを立て、仲間とともに未来を描き始めています。
地域を越えた探究が共鳴し、学びが連鎖していく。
その中心には、対話を通して可能性を広げていく若者たちの姿があります。
「発見・発展・発信」—— その言葉の通りに、静岡の教室から全国へ。
未来を拓く風が、いま確かに吹き始めています。
企業の取り組み概要や、
気になることがございましたら
まずはお問い合わせしていただければ幸いです。
