
「混沌」を越えてブレイクスルーへ ― 企業と共に生み出す地域の未来 〜静岡学園中学校での企業訪問授業レポート〜
2025年10月6日(月)、静岡学園中学校の2・3年生を対象に、第2回目となるシヅクリPROJECTの訪問授業が行われました。
今回の授業には、建設システム、中部電力パワーグリッド、TOKAIの3社から計18名の社員が参加。
生徒たちの探究活動に伴走するファシリテーター、そして同じ地域を未来に向けてつくっていく「共創の仲間〜地域イノベーター」として、対話の場を盛り上げました。
授業の舞台と位置づけ
この日の授業は、生徒たちにとって大きな山場でした。
前回までに各チームが積み重ねてきたのは、企業や地域のリソースを組み合わせた複数のアイデア。その「芽」をどう育て、どう磨き上げていくか。本時はまさに、「混沌」の只中から一歩抜け出し、ブレイクスルーを起こす時間でした。
「問い」が広げるアイデアの地平
授業の1コマ目では、生徒たちが企業人に自分たちのアイデアを相談し、可能性を広げる時間が設けられました。
企業の社員たちは単に答えを示すのではなく、「もし自分が使うとしたら何が足りない?」「好きなものと結びつけたらどうなる?」と問いかけを重ねていきます。その一言に刺激されて、生徒たちの手は次々と付箋に走り、写真が示すように模造紙にはカラフルなアイデアがびっしりと並んでいきました。

建設システムの社員はこう振り返ります。
「実現可能性ばかりにとらわれていたチームに、『もっとワクワクするものを考えよう!』と声をかけると、場が一気に活気づいた」
また中部電力パワーグリッドの社員は、雑談の中から太陽光発電のアイデアへと発展したチームの様子に触れ、
「自分がなってほしい未来を語ってもらうと、新しい発想がどんどん出てきた。そこに地域のリソースを結びつけると、一気に静岡らしいアイデアになった」
と語っています。
TOKAIの社員も、アイデアを軽く受け止め、笑顔で応じることの大切さを実感したといいます。
「生徒が冗談半分で言ったことを笑顔で受け入れると、周りも巻き込まれてワクワクが広がった。受け止めることが大事だと改めて学んだ」

生徒の声に表れる“手ごたえ”
一方、生徒たちの感想には、企業人との対話を通じて得た大きな実感がにじんでいます。
前回までに考えていたアイデアを2つ組み合わせ、さらにまちのリソースも加えて全然違うものをつくることができた
企業の方の意見を起点にチームからたくさんの意見が出て、アイデアが湧き上がった
自分の意見に対して『確かにそれいいね!』と言ってもらえ、安心して話せた。議論がスムーズに進んだ
この言葉からは、ブレイクスルーの瞬間に立ち会った生徒たちの高揚感と、仲間や大人に承認されることで生まれる自信が伝わってきます。
企画へと立ち上がるプロセス
まさに「単なる思いつきから一歩踏み出し、地域に価値のある企画へと昇華していく過程は、生徒にとって大きな挑戦であり、自信につながる」瞬間でした。

実際に、ファシリテーターとして関わった社員たちも「山登りの案内人のようなもの」と自らの役割を語っています。どのルートがそのチームにとって最も良いのかを考え、ともに歩き、ときに問いを投げかけながら伴走する。そこには、企業と学校が垣根を越えて共に学び合う姿がありました。
「共創の場」が生んだ共鳴
今回の授業は、生徒にとっての学びであると同時に、企業にとっても自社のリソースを新しい角度から見直す機会となりました。社員たちが自らの専門知や日常の業務の探究から投げかける問いは、生徒の発想を大きく揺さぶり、同時に「地域の未来を担う存在」としての自分たちの役割を再確認させるものでもありました。
こうした場の積み重ねが、「地域の探究共同体」をつくりあげていきます。
生徒は地域を“自分ごと”として捉え、企業は教育に関わることで未来をともに創る仲間となる。
互いの視点が交わり合うことで、新しい価値が芽吹き、静岡の未来を形づくる可能性が広がっていきます。

まとめ —— ブレイクスルーを越えて
「混沌」の渦中で生まれた数々のアイデア。そこから一歩踏み出し、ブレイクスルーを体験したこの日の授業は、生徒にとっても企業にとっても大きな意味を持つ時間となりました。
シヅクリPROJECTは、これからも学校と地域をつなぎ、問いと対話を通して「未来を共に創る学びの場」を育んでいきます。
生徒の心に灯った火が、地域の未来を照らす光になる。その瞬間を、私たちは確かに目撃しました。
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